電 機アシストトレーラの提案
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No.
項目
更新履歴

概 要  2005/5/21,2006/2/9 参考画像リンク追加

動 機  2005/5/21,2006/2/7probox 性能曲線図追加

プ ロボックス納車  2005/8/3

搭載するモータ  2005/8/22

ト レーラ連結時、非連結時の燃費  2005/9/13,2006/2/9データ追加

トレーラけん引走行の感想
2005/9/13,2006/1/12感想追加
6.2
トレーラけん引走行の感想 (トキワトレーラ)  2006/2/19

アシスト化ベーストレーラ 2006/1/12,2006/1/27BOX 化&写真追加,2006/2/9Cd値要検討

トレーラの重量測定 2006/1/12

アシストのパーツ入荷 2006/1/15,2006/2/10 追加編集中
10
アシストトレーラの電機回路  2006/2/14
11
リチウムイオンバッテリー 入荷!!  2006/2/24
12
駆動系  2006/2/24




電機 アシストトレーラ最新情報は画像掲示板にも掲載しています。
 1.概 要 2005/05/21
 電動機を搭載し牽引車に対する駆動力、制動力を自ら補助する被牽引車を提案する。

  1.  被牽引車に電動機を搭載し、電動機からトレーラの車輪に駆動力、制動力を加えることのできる構造とする。
  2.  牽引車との連結装置に、牽引力の検出装置を設ける。マイナスの牽引力も検出可能とする。
  3.  トレーラには蓄電池(キャパシタを含む)を搭載し、蓄電池から取り出される電力にて電動機を駆動する。蓄電池は牽引車の駆動軸 加重を増すために、牽引車に搭載してもよい
  4.  コントローラは牽引力と保安部品駆動信号を取り込み、電動機に加える電圧および電流を制御する。
  5.  制御方法は、牽引車の牽引力を検出し、前進時、後退時ともこれを補助するように電動機を駆動する。
  6.  牽引力がマイナスのとき、すなわち制動時には電動機から電力を回生しながら制動力を発揮し、制動力を補助する。
  7.  電機アシストトレーラは、牽引力(制動力) を検知し、これを補助するように電動機にてトレーラの車輪を駆動するので、牽引車に要求される駆動力、制動力を低減することができる。
  8.  コントローラに車輪の回転数を取り込むことで、駆動時、制動時の車輪スリップが制御できる。

 被牽引車の車輪に電動機により駆動力、制動力が補助されると、
  • 牽引車の燃料消費率の悪化が抑えられる。
  • 低μ路、不整地での走破力が改善される。
  • 牽引車に対する駆動力、制動力の要求が緩和される。
  • 減速時の運転が容易になる。
  • 後退時の運転が容易になる。
  • 人力にて移動させる際にも取り回すための力を半減できる。
  • ジャックナイフ現象の防止。
 ISUZU自動車のIESCシス テム紹介画像 勝手リンクです。
  • 雪道で安定に走行できる。
等のメリットがあると考えられる。


図1.1 電機アシストトレーラの実施例



参考文献 「氷雪路面におけるライトトレーラの挙動について」 リンク切れ
 という北海道自動車短期大学の論文で、氷盤路ではABS付きの牽引車でも、速度20km/h以上から の旋回制動でジャックナイフ現象が生じると述べています。
 2.動 機
 私はオフロードバイクのレースのためよく遠征します。
 オートバイほか用品の運搬、宿泊のため、大型のバンを利用しています。(全長約5m 質量約1.9t 2800ccディーゼル 長距離燃費約 12km/L)
 しかし
  1.  普段の買い物の足としては、大きすぎる。
  2.  燃料費がかさみ、環境にもやさしくない。
  3.  大型のバンから車両重量を小さな車の利用に変更を検討。
  4.  日本においてはディーゼル車の規制が厳しくなり、ガソリン車の利用が必須。
  5.  ガソリン車はディーゼル車に比べ熱効率が低く燃費が悪い。
  6.  ハイブリッド車も長距離一定速走行では重量が重く不利
  7.  小さなガソリン車を利用し、荷物の多いとき、バイクを運ぶときにはトレーラを利用する。  
  8.  排気量の小さなガソリン車ほど、トレーラ接続時の燃費悪化が大きい。
 の問題点があります。
そこで
 燃費悪化の無いトレーラがあればすべて解決!
 と考え、木下電機では、これから電機アシストトレーラの開発を行います。
 
  ト レーラに電動機を取り付け、来春の走行テスト を目指しています。

 プロトタイプ仕様
  •  総重量400kgのトレーラを5%の坂道で1:1のアシスト max10kgf
  •  総重量400kgのトレーラを5%の坂道で1:1の回生 max10kgf
  •  発進時の瞬間最大アシスト 30kgf
  •  急制動時の瞬間最大回生 30kgf
  •  蓄電池は20Wh程度のキャパシタあるいはリチウムイオンバッテリ
  •  LEDによる保安部品 
 プロトタイプ車にてアシストによる燃費の改善度、牽引力の変化を確認します。
 
 最終的には慣性ブレーキを持つトレーラ同様、牽引車に要求される制動力の低減(制動距離22m以下)、所要馬力の逓減を陸運事務所に認めてもらうことを 目標とします。

 2005/6/15 追加
 トレーラ連結時の構想図を図2.1に 示します。
 いままでハイエースで車内に積んでいた荷物もトレーラ側に載せることで、牽引車両の小型化を図ります。 牽引車両を小型化することで前面投影面積を小さ くし空気の抗力低減=>長距離時、高速走行時の燃費向上。
 トレーラ(図2.3) は牽引車より50cmほど全高が高く前面投影面積が増えます。 幌のフロント側を傾斜させ、Cd値を小さくして抗力増加を抑えま す。

 牽引車両の検討
 車両本体価格が安い、運用コストが安いという観点から牽引車を選択しました。 
 トヨタのプロ ボックスバンDX 1.4L インタークーラターボディーゼルです。(図2.2) なんと燃費が10・15モード で23km/Lです。 満タンで1000km走れ る計算になります。
 ディーゼルエンジンは寿命が長く30万kmは走れるでしょう。 年間3万km走行として10年間は乗ることができ、ガソリン車の約3倍。
 (でもPiccoloS.P.A の柿田氏はガソリンの日産マーチを25万キロ乗って現在も走行中!?)
 エンジン「1ND-TV」は「MINI one D」「ヤリス(ヴィッツ)」に搭載されているそうです。
 最新の技術が投入され、環境性能もばっちりです。


ご意見、ご感想はこちらまで。



図2.1 トレーラ構想


図2.2 トヨタプロボックスDX  トヨタ自動車ホームページより転載2005/6/15


図2.3 サントレックス殿のトレーラ

表2 プロボックスの諸元
車両重量  (kg)
1060
燃料消費率  (km/L)
 10・15モード
23
燃料タンク容量  (L)
50
排気ガス
ディーゼル軽量車
平成14年度規制適合
CO2(g/km)
115
CO (g/km)
0.28
HC (g/km) 0.12
NOx (g/km) 0.63
PM (g/km) 0.052
トヨタ自動車ホームページより転載2005/6/15


図2.4 プロボックスの走行曲線
(図2.5のエンジン特性と各部ギア比から算出したもの)
結構ピーキーなエンジンで、発進で少しもたつく感じあり。


図2.5 1ND−TVの性能曲線
 3.7月20日にプ ロボックス納車しました!(図3.1)
 BOSCH製第2 世代コモンレールシステム搭載のインタークーラーターボディーゼル! 約1tの軽い車体に17kgf・mのトルクでグイグイ走る。
 バンの荷物積載対応の、しっかりしたボディーと足回りで、トレーラ連結しても不安定感がありません。
 で「燃費」ですが、現在1500kmほど走って、給油が3回、1度 目は納車時の燃料量がわからなかったのですが、2回目のとき22.8Km/L  3度 目のとき22.6km/Lとほぼカタログ上の 10・15モード燃費と同じ値が出ています。

 昨年の道路運送車両法改正で、牽引車側でけん引可能なトレーラの重 量記載ができるようになりました。
 以前はトレーラの車検証に登録した牽引車でしかけん引できませんでした。
 が、牽引車の車検証に記載された重量の範囲であれば好きなトレーラがけん引できます。(図3.2)

 メンテサイクルも長い!オイル交換15000kmごと燃料フィル ター交換60000kmごとだそうです。
  
 ShoreLand'r 製トレーラ R&Jインポートの小堀さんから先日購入しました。(図3.3)
 自重が約120kgと非常に軽くできています。 荷台が傾くダンプ機能を備え、粉体塗装で仕上げてある高品質なトレーラです。
 サスペンションはポピュラーな板バネ。 重心の高いオフロードバイクを搭載し、コーナーで遠心力がかかっても傾かず安定に走行できます。 車輪が8イン チと少々特殊になります。
 ダンパーは装着されていません。  
 
 TOKIWA製 トレーラ アシストトレーラとして改造するのはこちらのトレーラです。
 社長の元澤氏が作りあげたトレーラは、足回りをコイルスプリングとダブルショックで固め、ガチャガチャ音のまったくでないトレーラとのこと。
 実際社長にお会いして、TOKIWA製トレーラをけん引してみましたが、納得。けん引しているのを忘れるほどでした。

 国産トレーラのほとんどは主要部品にアメリカ製パーツを組み合わせて使用しているそうですが、日本国内の使用状況にマッチしない場合が多く(積載重量が 少なめ)ガチャガチャと音の大きいものがおおいと思います。
 
 9月中ごろ納車予定です。
 
 
 トレーラの駆動系について 
 最高速度140km/h (道路交通法上は80km/hまで)とすると。
 モータはDCブラシモータ 定格500W×2個
 モータには、ディーゼルエンジン用のオルタネータ改造品も検討する。
 モータの許容回転数、出力トルクの関係。 駆動系の機械ロスを考え、チェーンとス プロケットによる駆動系を設計中です。

 その他仕様
 バッテリ:リチウムイオンスピネルMn系 8Ah 22セル構成 88V ENAX社製
 
 モータドライバ仕様:100V 50A
  
 

図3.1 プロボックス 初めての新車です。
 

図3.2 車検証のけん引可能なトレーラの重量に関する記載


図3.3 R&Jイ ンポートの小堀さんから購入した ShoreLand'r 1000Lbs(450kg)まで積載可能


図3.4 後ろから見てみました。
 4.電機アシストトレーラに搭載するモータ(図4.1)
  
 ・DCブラシモータを使用(効率が良い、駆動が簡単、回生も可能)

 ・定格は小さめ(システム軽量化)

 ・信号のストップゴーでアシストする。(ガソリン車、ターボ車の燃費改善を想定) 

 ・切り離しのクラッチを検討(通常走行時のロス考慮)

 ・ドライブ方法は駆動ロスを考慮しチェーンを採用(理想はインホイールモータ)
 ・左右個別に合計2個モータを搭載する
 ・トレーラの車輪は165R13-6PRタイヤを使用する。
 ・許容最大速度 140km/h

 直径が約60cm → 周長が1.88m
 時速140km/hまでトレーラの速度を許容し
減速費を1:2とする。
 140km/h時のタイヤ回転数は1241rpmになるのでモータ回転数は2482rpmとなり許容回転数を満足する。
 駆動力はタイヤ半径30cm、減速比1:2なので、

 ・定格駆動力(6.6A)     2.67kgf
 ・瞬間最大駆動力(57A)  24.0kgf

 となって瞬間最大駆動力の元では、車両総重量240kgのトレーラに対し、0.1Gの加速度を与えることができる。
  
2006/2/14追加
 DC磁石入りモータは制御が簡単で、アシストトレーラの機能試作に適当だ、との理由で採用しています。
 しかしDC磁石入りモータは何らかの原因で、予定外に高回転させると、高電圧を発生し制御回路を破損させてしまう恐れがあります。
 また、大電力のDC磁石入りモータは入手製やコストに難があります。
 さらに、回転コアが常時磁石の磁界に晒されているためコギングトルクがアシストトレーラの走行抵抗となります。
 なので、量産システムには不適当と考えています。
 
 量産タイプのアシストモータには、自動車のダイナモと呼ばれる発電 機をモータとして改造利用することを検討しています。
 自動車のダイナモは界磁を電磁石とした3相発電機で、10000rpm以上の回転数で回転させることができ、わりと小型で1〜2KWの発電容量がありま す。

 もともと発電機なので、回生動作はもちろん、この各相にうまく電流を流すと、モータとして回転させることができます。
 トヨタクラウンのマイルドハイブリッド車がMG(モータジェネレータ)としてダイナモ同様のモータを採用しています。*1 
 

 --------------------------------
*1 オーム社 自動車電源の42V化技術 電気学会42V電源化調査専門委員会編 ISBN4-274-03612-X





図4.1 電機アシストトレーラに搭載するDCブラシモータ

表4.1 電機アシストトレーラに使用するDCブラシモータの仕様
定格出力
500W
定格電圧
90V
定格トルク
20kgfcm (1.96N・m)
定格電流
6.6A
定格回転数
2500rpm
最高回転数
3000rpm
連続ストールト ルク
23kgf・ cm (2.25N・m)
瞬間最大ストー ルトルク
180kgf・ cm (17.6N・m)
瞬間最大ストー ルトルク時電流
57A
トルク定数
3.35kgf・ cm/A
質量
4.3kg




 5.ト レーラ連結時、非連結時の燃費

現状の満タン法燃費の測定結果です。

・ 満タン法燃費
  燃料給油時の際は必ず満タン給油とし、前回満タン
 給油時からの走行距離を燃料給油量で割り算し算出。
・ メリット
  特別に測定器が必要にならない。(給油所のメータは
 定期校正されているはず。)
・ デメリット
  タンクへの給油レベルが一定にならない(給油者によ る)走行距離が短いと誤差が大きくなる
・ ほかの方法
  ダイアグノーシスコネクタから、燃料噴射時間を得る。
  燃料タンクから出ている燃料パイプに流量計を取り付
 ける。

・ 燃費評価
 現時はトレーラの有無で、はっきりとした相関が現れていない。 どちらかというと走行速度の影響が大きいようだ。

 2006/2/9追加 BOXト レーラ総重量550kgを牽引走行した結果14.7km/Lの値が出た。 明らかに燃費悪化している。 BOXトレーラのタイヤがかなりつぶれているの で、タイヤの空気圧が最適でない可能性がある。 タイヤ空気圧を3.0kg/cm2から3.5kg/cm2に上げ引き続きテストする。
 BOXトレーラを牽引走行中、牽引車のエンジン「エアフロー」が1.6倍ほ どの値を示していることを確認している。 単純に「エアフロー」に比例して燃料消費していると考えると
 23(km/L) / 1.6 = 14.4(km/L)
 と実際の燃費に近い値が算出される。
 走行抵抗の増減は「エアフロー」の値に反映されている可能性がある。


・ 参考データ
浅間往復ルート例:
 自宅 R8 糸魚川 R148 白馬村 長野白馬道 長野市 R18 上田市 アサマサンライン 中軽井沢 R146   浅間山
 
伊那往復ルート例:
自宅 R8 糸魚川 R148 大町 県道 農道 塩尻
R153 伊那市

 
 
表5.1 トレーラ連結時、非連結時の満タン法燃費
給油(L)
走行(km)
燃費 (km/L)
トレーラ
備考
35.21
803
22.8
ナシ
通勤他
42.68
964
22.6
ナシ
大阪出張
35.1
806.2
23.0
ナシ
通勤他
23
452.9
19.7
ShoreLand'r 総重量=(GVW) 300kg
牽引車+総重量=(GCW)1500kg
浅間往復
48.22
924
19.2
ナシ
大雨の高速走行
東京出張
20.4
415
20.3
ナシ
通勤他
17.73
376.5
21.2
ShoreLand'r GVW 300kg
GCW1500kg
伊那往復
15.5
355.4
22.9
ナシ
通勤他
21.95
436.5
19.9
トレーラナシ  3人乗車
大雨の高速走行
約120km
19.7
460
23.4
ナシ
高速走行約 100km
16.3
308.1
18.9
最悪値
ShoreLand'r GVW 300kg
GCW1500kg
加賀往復日中  信号多数しっかり加速して走行
26.7
649.8
24.3
ナシ
通勤他
44.54
1059.8
23.8
サイクルキャリ ア
北海道走行
50.64
1295.8
25.6
最良値
サイクルキャリ ア
北海道走行
36.9
824
22.3
スタッドレスタイヤ 雪道
近所の用事
34.8
512.7
14.7
最悪値
BOXトレーラ  大雪の上信越道走行
千葉出張
22.54
327.9
14.5
最悪値
BOXトレーラ アクアライン首都高中央道相模湖東まで しっかり エンジン回す
千葉出張
16.6
263.1
15.8
BOXトレーラ 韮崎から下道普通に走行

38
600
15.8
BOX&VG 高速道路走行含む

15
249.7
16.6
甲斐市から富山まで一般道


特に断らない場合、一般道走行
BOXトレーラ GVW 550kg

 6.トレーラけん引走行の感想 

・ トレーラ連結時の重量に対応した運転にまだ慣れていなかった。 トレーラ総重量 で300kg増加し走り出しが重たい。
・ 最適な減速比が選べずシフトチェンジがギクシャクした。 全体にシフトが1段低めになる印象。

・ 走り始めはトレーラの挙動が気になった。
 トレーラの振動(道路の継ぎ目等)が牽引車に伝わってくる 牽引車 ギャップ通過後に少し遅れて、牽引車全体が振られる感じがする。 
・ コーナーリング中であれば牽引車リアタイヤの横剛性が小さい場合、滑っている感じを受けるかもしれない。
・ 牽引車は荷物積載を考慮されている商用車である。
一般の乗用車よりもサスペンション、タイヤともに高剛性構成になっている。 そのため不安定な挙動が出現しづらいようだ。

・ 現状のトレーラ重量では 燃費の悪化が確認できない。

・ コンビニの駐車場に入るときは、一番道路寄りに道路と平行に駐車した。 駐車場 に気を使う。
 
・ 行きの山道で荷物を落としてしまった。
 牽引車のヒッチボールの高さが高く、トレーラが前上がりの状態になっている。(図3.3参照ヒッチボールが 10cm程度高い。) 走行中の振動で荷物が後ろにず れて行きトレーラ後端から滑り落ちたようだ。

・ トレーラのけん引走行時、トレーラが前上がりならブレーキング時に牽引車のリアを持ち上げる力が生じると言われているが、実感できなかった。
・ 平ボデーのトレーラでは荷物の固定が必須になり、車内に搭載するときに比べ荷物 搬送に手間がかかる。
 
・ 牽引車の運転感覚がいつもと異なったが、帰りにはなれて、いつものペースで走行できた。

表6.1 トレーラ牽引時のネガティブ要素
No.
現象例
原因
1
走り出しが重たい。 重量
2
全体にシフトが1段低め 重量
3
ギャップ通過後に少し遅れて、牽引車全体が振られる 動特性
4
駐車場に気を使う。 サイズ
バック走行が難しい
5
荷物がトレーラ後端から滑り落ちた 利便性
6
荷物の固定が必須 利便性

 表6.2 重心位置による走行特性の違い。 ドラム缶+灯油200L+トレーラ=約350kg
図6.2.1  車軸前方に積載
図6.2.2  車 軸上に積載
 トレーラ車輪軸がギャップにはねられた後少ししてから、 牽引車後輪に車高下げGが掛かる。かなり不快な挙動。 ヒッチ荷重40kgぐらい。
 少しの加減速で、ヒッチ部に上下動あり。 かなりがたが た音がする。 しかし、大きな車高下げGは無い。 ヒッチ荷重少ない。

 2006/1/12追加
 ある程度の積載荷重を掛け50km/h以上の速度で走行すると、トレーラがはねたり暴れたりする感じが小さくなる。
 サスペンションのバネレート、足回りの質量から決まる固有振動数と、タイヤの反発特性や荷台上の荷物重量を含めたトレーラの挙動を、一定以上の走行速度 にチューニングされているのだろうか?
 80km/h程度での走行で安定感を感じる。

 
 6.2 トレーラけん引走行の感想(トキワトレーラBOX化済)

・ トレーラ重量が550kgにも達するが、トレーラ牽引の慣れのせいかあまり気にならなくなっている。 落ち着いた運転(急発進、急制動をしない)をす る分には問題ないレベル。

・ 牽引車に伝わるトレーラの振動は非常に少ない、積荷のバランスの問題か?

・ コーナーリング中も牽引車のリアタイヤに力がかかる感じが少ない。コーナリング中に路面にギャップがあってもほとんど振られない。

・  燃費は30%近く悪化している

・ 駐車場は直列に2台分を使用、駐車スペースを探すこと多い。 バック走行にもなれたので相当自由度が大きくなった。

・ ブレーキング時に牽引車の後輪荷重が増加している感あり。 ブレーキングで トレーラが前のめりになる力がヒッチメンバーを通じて牽引車後輪にかかっている。

・ BOX化したことで、荷物積載が非常に簡単になった。 また荷物が跳ねないようだ。
 
・ トレーラの牽引を意識せずコーナリングしても転倒の不安は無かった。 (BOX化で重心が高い位置に移動しているはず)

・ スタッドレスタイヤを装着すれば雪道での走行に不安を感じない。 走行場所R148小谷村-白馬村-大町市あたり。 青森、秋田など もっと気温の低いところでのテストも行いたい。


表6.2 トレーラ牽引時のネガティブ要素(表6.1との比較)
No.
現象例
原因
1
走り出しが重たい。 重量
2
全体にシフトが1段低め 重量
3
ギャップ通過後に少し遅れて、牽引車全体が振られる
比較的振られることが少ない
動特性
4
駐車場に気を使う。 サイズ
バック走行が難しい
5
荷 物がトレーラ後端から滑り落ちた
BOX化で落下しない
利便性
6
荷物の固定が必須
BOX化で固定不要
利便性

 走行時の感覚は、牽引車を運転しながらのもの。
 今後外部から走行状態の観察が必要と思う。
 
 振動の違い、牽引車の振られはトレーラサスペンションの違いが大きいと考える。
  →ダンパー取り付けネジが緩んでいると遥動が大きくなった。
  →ダンパー力の最適化は必要。


 燃費の悪化はBOXの有り無し(重量同条件にして)で比較する必要あり。
 予想ではBOX後部で負圧が生じ、走行抵抗になっていると考えている。

 牽引車とトレーラで全長7.7Mとかなり長くなるが、回転半径が小さいので(牽引車同等)、
交差点やUターン時に特別な配慮が要らない。
 
 牽引車の跳ねた雪が大量にトレーラにかかる。
  →牽引車に泥除け装着で解決。

 7.アシスト化ベーストレーラ
 ずいぶん前に納車されていたのですが、まだ紹介してませんでした。
 トキワ製FT-0208です。
 標準仕様は金網のフラットデッキで、改造ベースとなります。

全長
339cm
全幅
145cm
重量
211kg
タイヤ
165R13 6PR
荷台幅
100cm
荷台全長
260cm
 
2006/1/27
 アシスト化実験の際、バッテリ、アシスト電機回路や測定器を搭載するためにBOX状の荷台を製作しました。 図7.5参 照
 構造は□25の鉄角パイプを溶接して骨組みを作り、樹脂をアルミでサンドイッチにしたパネルを使用しました。

 特徴は、このBOXが前後方向に3分割の構造になっていることです。
 このBOX荷台は、「荷物」なのでトレーラの車検時に取り外す必要があります。
 そのときに重さ150kgの一体構造だと車体との分離が容易ではありません。 
 3分割構造なら分割後のBOXは60kg以下となり1人でBOX取り外し作業ができます。
 
2006/2/9
 BOXトレーラのCd値が気になる。 BOXの各辺は大き目のrで処理したかったが、製作の容易さを選んだため非常に小さなrとなっている。 走行中の 風のながれを確認する必要がある。
 小片を多数つけて走行中し、小片の動きをビデオ撮影して風の流れを把握したい。
 根本的にはBOX形状の対策になると思うが、まずはBOX形状を変えずボルテックスジェネレータの追加で対処したい。
 ボルテックスジェネレータの効果は小片をつけての走行と、高速道路走行時の牽引車エンジン「エアフロー」で確認する。 

2006/2/9
 薪満載のShoreLand'rトレーラとバイク2台搭載のBOXトレーラの各 総重量がほぼ同じ条件である。 走行感覚の違いについて。
  • ShoreLande'rでは
 道路継ぎ目を越えると周期の早いピッチングが約1秒続く(ガチャンガチャン音)
 加速時、制動時に牽引車の姿勢変化は及ぼさない。

  • BOXトレーラでは
 道路継ぎ目通過時のみ篭った音がする(ゴトン音)
 加速時は牽引車リアが持ち上げられる感じ、減速時はリアが地面に向かって押し付けられる感じがある。 (積載物のはオフロードバイク2台なので重心が高 いことによる影響か?)
  • タイヤ 
  • バネ形式
  • ダンパーの有無
  • 被牽引車車軸から連結部までの長さ
の違いが走行感覚に影響を与えているようだ。

2006/7/17
 サスペンションにコイルスプリングを使用すると、ストロークが長くバネ係数の小さく、内部損失が少ないのでボディーにつたわる振動を低減しやすい。
 が積載重量の変化による姿勢の変化が大きい。
ベース トレーラのトキワ製FT-0208
 他メーカの格安トレーラより100kg近く重たい。 
 泥除けは非常にきれいにできているのですが、鉄板でできていて一個10kgもあります。
 タイヤは牽引車と共用するため、サイズ変更しました。
 サイズは165R13 6PRで、これも重量増要因です。

 というか、この手のトレーラには145SR12辺りが装着されているようですが、耐荷重が1本あたり325kgとすると左右合計で750kgと、トレー ラ総重量に対し十分なのか疑問??
 
 ちなみに165R13 6PRは空気圧も上げられ、耐荷重580kg程度ありタイヤ剛性も確保できる。
 もっと言うと、アルミホイールの耐荷重、アクスルの耐荷重も検討済みの必要がある。 
図7.1 ベー ストレーラ トキワFT-0208全体
 ト レーラ車体の盗難を避けるため、保安部品とナンバーはひとつのステーに取り付けられており、ワンタッチで車体から取り外すことができます。
 トレーラにホイール固定する鍵はありませんし、連結部分も鍵が無いので、盗難されることがあるそうです。
図7.2 FT -0208 後ろより
 トキ ワ製トレーラの最大の特徴である足回り。
 国産自動車のアクスルを流用し、コイルスプリングを採用することで、トレーラ重量に合わせて最適なバネレートを選択することができます。
 一般的なリーフスプリングに比べて内部損失が少ないので、ショックアブソーバによるダンピングが重要になります。
 もうひとつ重要なポイントとして、リーフスプリングサスペンションのように足回りの拘束が金属同士の接触ではなく、ゴムブッシングによる拘束になり、不 快なガチャガチャ音が非常に少ないです。
図7.3 FT -0208 足回り
 最近 はトレーラの低価格化に伴い、駐車ブレーキはだんだん簡素なものに変わってきている傾向があると思います。
 ホイールにチェーンを絡ませたり、ドラムに鉄棒を押し当てたりしているものもあります。
 このトレーラのホイールドラムには乗用車同様のブレーキシューが内蔵されていて、パーキングレバーにて駐車ブレーキが掛けられます。
図7.4 ホ イールをはずした状態

BOX部諸元

室内高 1600
室内幅 1450
室内奥行2700
総高 1800
総幅 1406
総奥行2720
床面高 600 
フレーム 鉄25mm角パイプ 
壁  Al貼樹脂パネルt=3mm
BOX総重量 150kg (車台別)
図7.5 製作 したBOX状荷台
 牽引 車のプロボックスと連結すると、全長7.7Mと中型貨物ほどの長さがあります。
 けれど最小回転半径は
  
図7.6 BOXトレーラ連結全体図

 8.トレーラの重量測定

  トレーラの重量測定を行いたいのですが、簡単に500kg近くもの重量を測る手段はそうありません。
 トレーラ単体だけでも100kg以上はあります。
 台ばかり
 トラックスケール
 ホイー ル重量バランス測定器
 等々が利用できそうですが、すぐ100万円ぐらいになってしまいます。
 
 代用手段として市販の体重計を利用しています。
 125kgまで測定できる体重計を片輪に2個づつ使用することで片輪に付き250kg、合計500kgの秤量を実現しました。
 タンジャッキ(全部の補助輪)部にもさらに1個の体重計を使用し 
計5個の体重計の表示値を合算して総重量とします。

 ちなみに写真の測定では
 左 120 + 130
 右 127 + 140
 合計 517kg
 車体の重量は以前測定した結果151kgだったので、積載されている薪の重さは356kgです(6kg積載オーバ!?)。
 
 走行距離が短いので燃費確認できず。



   ShoreLand'r 製 BK-1000U はフラットデッキのトレーラです。
 バイクを搭載するにはそのままで良いのですが、荷物もトレーラに搭載しようとした場合アオリが無いので、走行中荷物を落としてしまいました。 写真はア オリ取り付け改造後の写真です。 アオリをつけたので薪拾いにも活用できるようになりました。

 写真は薪拾い後の重量測定から、トレーラ重量と走行感覚の関係を調べます。

図8.1 重量 測定の様子
 市販 の体重計を利用して測定しています。
 体重計を4個用意し、片輪に2個づつ使用することで合計500kgまで測定できます。
 
 タンジャッキ部には体重計をもうひとつ用意しヒッチ荷重の測定ができます。

図8.2 重量 測定部



 9.アシストのパーツ入荷
 ぞくぞくとアシスト化パーツが入荷してきています。
 スプロケット AFAMジャパンさん
 
 足回りブラケット 笠木鉄工さん
 
 コップ型部品 サン工業さん


 


後でUPします。

 オー トバイ用520チェーンで駆動するスプロケット。
 ふつう大きくても50Tぐらいですが、60Tなんて大きなサイズもありました。

 さらにドライブ用に30Tという小さなサイズも使います。
図9.1  ス プロケット
 ト レーラの足回りにモータを取り付けるブラケットです。
 最初の試作車なので、調整用の長穴がいくつもあります。
 SS400材不等辺アングルにて製作。
図9.2 モー タ取り付けブラケット L&R
 ト レーラのホイールを駆動するためのスプロケットを取り 付けるドラムです。
 ブレーキドラムとタイヤホイールの間に装着します。
 A2017材丸棒からの削り出しで製作しました。
 
 取り付けてみたら、寸法ミスがあり少し削りなおす予定です。 
再加工発注中2006/2/24
図9.3 ドライブスプロケット取り付けホイー ルドラム


10. アシストトレーラの電機回路
 
 電気回路が、木下電機の本業です。 なので一番後回しになっています。
 
 工夫が必要なのは、わりと高電圧(DC100V)を扱うので、トラブル時にコントローラ部分をいかに高電圧から保護するかがポイントです。
 なにがあってもコントローラが生きていれば、対策が打てます。
 
 電機 アシストトレーラの電機系ブロック図です。
 木下電機の専門はこの電機系で、
 「電子回路設計、プリント基板のパターン設計、組み込みプログラム、電気試作、電気実験等々」が得意分野です。
 トレーラの保安部品用カプラとタン部の牽引力センサの出力から、アシスト力、回生制動力を決定します。

 左右タイヤのトルク分配は左右モータの電流値にて制御されます。
図10.1 電機ブロック図
 この 基 板がアシストトレーラの頭脳です。
 当初SH2採用予定だったのですが、入手性が悪いのでdsPICに変更しました。
 MicroChip製のモータドライブ評価セットのコントローラ部分を購入しました。
 LCD、シリアル、RS485インターフェースやONchipデバッガが搭載されていて使い勝手が良いです。 モータドライバとのインタフェースは 36pinD-subです。
図10.2  アシストコントローラ基板
 モー タドライバ基板です。 フルブリッジが左右モータ分の2つ搭載されています。
 バス電圧が約100Vと半端な電圧で、パワーモジュールも適当なのが無かったため自前で開発しました。
 1chにつき連続100V20A、ピーク40Aの仕様です。
 FETはIRFPS3810
 
 4層基板で構成していますが大電流部分の部品はお互い近くに配置し、プリント基板に大電流が流れる部分を極力短くする工夫をしています。 
図10.3  モータドライバ基板
 リチ ウムバッテリのセル電圧監視回路です。 リチウムバッテリは過放電、過充電で危険な状態になるので必ずセルごとの監視が必要です。
 PIC16F877を採用し一基板に付き8セルの監視ができます。
 それぞれの基板は警報出力を絶縁して出力、シリアルデータは光インターフェースにて出力するようになっています。
 各セルの電圧検出に差動アンプLT1990を採用しました。LT1990は同相電圧±250Vまで対応する優れもののICです。
図10.4 バッテリ監視基板
 バッ テリと絶縁されたDC電源を作る基板です。 COSELのDBS150Aを搭載し、入力電圧160〜66Vのワイドレンジで12V150Wの出力が可能で す。
 基板上にガラス管ヒューズを搭載しています。
図10.5  電源基板

11. リチウムイオンバッテリー入荷!!!
 
 お待たせしました、バッテリーが入荷しました。
 世界一安全なリチウムバッテリー
 ENAX製Mn系リチウ ムイオンバッテリー
8.3Ah×22セル直列のユニットです。 満充電時の電圧は約90Vになります。

 仕様
  電力容量 700Wh
  最大出力 2kW
  質量 ケース込みで9kg
  寸法 470×200×85

 仕様書の上では放電電流25A、充電電流8.3Aですが、
 温度管理、セルバランス管理を行ったうえで、40Aの充放電が可能なはず。
 この性能が、トレーラ(車も)のハイブリット化の肝です。
 
 どんなに大きなモータを搭載しても、大電力の充放電可能なバッテリーが無ければ意味がありません。

 木下電機製バッテリケースに、22セルの電池パックを組み込んでいただきました。
 
2006/7/17
 バッテリの充放電を何十回と繰り返すと、だんだんセルバランスが崩れていきます。 各セルの均等充電回路を試作中です。
  


 ジュラルミンの板に11セルずつ重ねた ユニットを、2つ横並びになっています。
 セル監視の電線(0.3sq)
 メインの出力電線(8sq)
が接続されています。

図11.1 バッテリユニット上面


 この後写真左側のスペースにブレーカと ヒューズが搭載されます。
 ところがDC高電圧の開閉は難しいらしくブレーカもヒューズも探すのが大変です。
 交流は必ず0Vになるタイミングがあるので、アークが自然消弧するのですが、DCは電圧かかりっぱなし。 消弧に時間がかかるので電極に工夫が必要のよ うです。
図11.2 バッテリユニット側面


 消弧用の砂が入っている大きなヒュー ズ。 絶縁物でできたキャップが付いているので活線でもヒューズ交換が可能です。
 ヨーロッパの家庭受電部のヒューズ使用されているそうです。
図11.3 栓型ヒューズ

12.駆動系
 電機アシストトレーラのモータ取り付け図面です。
 電機アシスト機構は、既存のトレーラに後付けすることを考慮して設計しています。
 駆動用の60Tスプロケットはコップ型部品に取り付けられ、トレーラのホイールドラムと、タイヤホイールの間に 装着します。 トレッドも少し広くなります。

 

 アシスト駆動、回生制動のためのモータ 取り付けステーです。
図12.1 モータ取り付けステー
 図12.1の部品をトレーラのアクスル に取り付けた図です。
 モータ許容回転数の関係から減速比は1:2です
図12.2 モータのアクスルへの取り付け
 図12.2を上から見た図です。 左右 別々にモータを搭載します。
図12.3 モータ取り付け TOPVIEW





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